石津忠の
「アメリカぶらり旅」

Part10


8月1日(日)

8時10分に目が覚める。約束はホテル前に9時である。まだ大丈夫だな、と思った瞬間に意識を失う。気がつくと8時50分。慌てて支度をして外に飛び出す。そこにはKさんとKさんが待っていた。2人のKさんのうち一人はこの日記初登場である。どうでもいいがイニシャルKのひと、多すぎ。
しばらくしてFさんも現れる。今回のメンツはこの4人。行き先は「モントレー」である。私もどんな所かは知らない。Kさん曰く、
「風光明媚なところ。」
らしい。おりしも昨日までのどんよりとした天気がウソのように晴れ渡っている。これも日ごろの行いの賜物であろう。意気揚々と出発する。

101を快調にすっ飛ばす。平均時速は80マイル。140Km近くである。道が広く、まわりがだだっ広いせいかまったく速度感が無い。途中少し渋滞し、「40Kmぐらいになったかなぁ。」と、ふとメーターを見ると90Km以上のスピードである。速度感覚が完全に麻痺しているようだ。日本に帰ってからがちと不安である。
そんなこんなでモントレーに到着。名所が集まる海岸線のほうに向かう。

ガスで真っ白。まるで冬の日本海のようである。これも日ごろの行いの賜物であろう。

しかし、このまま何処も見ないまま帰るのもなんなので、いちおうは観光ポイントに立ち寄る。そこで、ある生き物と遭遇した。

めちゃめちゃかわいいぞ、こいつら。

どうやらこいつら人(観光客)が餌をくれるものとちゃんと認識しているようで、カメラをもってしゃがんだだけでレンズに走って近寄ってくる。おかげでこちらとしては絶好のシャッターチャンスである。
しかしこういう生き物を撮るときにデジカメだとすぐ確認できるし、失敗を気にせずに撮る事ができるので、凄く便利。高い金を出して買ったかいがあるというものである。いくら日本よりかなり高くても(まだいっとるのか)。

で、そこを離れるとあとは真っ白な海岸線が続くだけ。仕方ないので車で10分少々のところにあるフィッシャーマンズ・ワーフ(もちろんサンフランシスコのとは別物である)に行ってみる。

真っ青な空、照り付ける強い日差し。これも日ごろの行いの賜物であろう。
ふと、さっきまでいたあたりを見てみるとそのあたりだけどんよりした雲がわだかまっている。どうなっとるんだ、このあたりの気候は。

フィッシャーマンズワーフのレストランで飯を食い、しばらくベンチで休憩する。目の前では、おっさん達が「ビリヤードとゲートボールとボーリングとおはじきをたして4で割ろうとしたら割り切れなかったので適当に四捨五入してむりやり値を出したようなスポーツ」をやっている。しばらく見ていたが、4人ともルールを見い出す事ができなかった。

さて、休憩も終わり次なる目的地「モントレー水族館」へ。入り口のところで世にも恐ろしい「マンボウの着ぐるみ」を発見。写真を撮りそこなったのがかえすがえすも悔やまれる。
それはともかく、中へ入場する。

印象としては、見せ方が異常に巧みな水族館である。外光を取り入れた水槽作りが非常に美しく、幻想的である。思わず大量に写真を撮ってしまった(なんか無理からハイパーリンク入れてるな)。発行生物のブースも美しい(光量不足で写真はあまり撮れなかったが)。ただ、これでさえかなり恐い映像なのに、そのとなりのこれはあまりに不気味だぞ(ちなみに3m以上ある)。

そんなこんなで海洋気分をたっぷり満喫しもとのシリコンバレーへと帰る。途中でドイツレストランで飯を食う。ソーセージでビールをがんがん飲み、料理をがんがん食い、死ぬほど甘いザッハトルテを食い、酔っ払ったままホテルへ帰還(またか)。

さすがに疲れた。明日のために早く寝る事にしよう。なぜか?それはあしたは非常にデンジャラスな一日になる予定だからである。


8月1日(日)

9時30分起床。さて、非常にデンジャラスな一日の始まりである。が、とりあえずはコインランドリーに行って洗濯である。
洗濯を終えて、ホテルに戻るとTVでなんかやってる。ステルスがどっかにミサイルを打ち込んでいる。時間表を見てみると「インデペンデンス・デイ」である。まだ見た事無い。見たかったが時間も無いし今回はあきらめる事にする。どーせ、しゃべりはわかんないんだし。

そんな訳でホテルの前で、KさんとKさんと待ち合わせる。一人は昨日一緒にいたKさんだがもひとりの人はこっちに一緒にきたKさんである。イニシャルKのひと、多すぎ。
ともかく、その二人といっしょに会社へ向かう。会社でさらにNさんと待ちあわせているのである。

会社へ到着。Nさんと合流し、とりあえず飯を食いに行く。今日のメニューは「ベトナムのそば」通称「ベトそば」である(そのまんまやんけ)。それはともかく、ベトナム料理ってのはほとんどのものに「香菜」というものが入っており、これがまたとんでもない匂いがするのである。私はこれが大の苦手で、全部取り除いてから食べる。これさえなければ味自体は好みなのだが。
しかし、そんな苦手なベトナム料理だが、好きなものが一つだけある。それは、
「ベトナム風アイスミルクコーヒー」である。
つくりかたはかんたん。めっちゃ濃いコーヒーとコンデンスミルクを混ぜ、そのまま大量の氷を入れたグラスの中に注ぐだけ。濃いコーヒーの苦みを無理矢理甘さで押え込んだような味が非常によい。専用の作る道具も売っているらしい。今度購入してみようと思う。

さて、飯も食い終わりいよいよ本日の目的の場所へ向かう。期待と不安に揺られ……る暇も無く到着。
その目的の店を見ると看板も何も無く、なんかの倉庫にしか見えない。
非常にイリーガルな雰囲気である。
車を降りて建物に近づいてみる。
中からは非常にデンジャラスな音が聞こえてくる。

ここは「NationalShootingClub」。そう、俗に言う射撃場である。

Nさんの案内で表に回る。どうやら裏側ゆえに怪しげな雰囲気だった様だ。表から見るとちゃんとした店構えである。というより、なんかカラオケボックスかなんかのようである。
こんな気楽な雰囲気でいいのか。
店の中に入る。Nさんは以外は初めてなのでまず会員申し込みが必要となる。登録用紙を渡される。2,3枚目は契約書のようである。登録用紙は住所、氏名、パスポート番号なのでまぁ想像はつくが、契約書のほうはちょろっと目を通しただけでサインしてしまう。アプリケーションソフトの使用承諾書の同意する、しないダイアログボックスのノリである(いいのか、おい)。
で、ちょこちょこっと記入してカードの写真を撮ってさて次はなにかな、と思ったら、おっさん、ガラスケースの方を指差し、いきなり「銃を選べ。」という。
おいおい、こんな簡単な審査でいいのか。

それはともかく、銃を選ぶ。初めてなので一番小さい22口径しか選べないそうだ。CZ‐75(旧型)は選べ無いのね。ちと残念(というよりそんなものあるわけないが)。で、結局オートマチックリボルバーを一つづつ選び、交換して使う事となった。ちなみにNさんは38口径のごっつい奴を選んでいる。いーな。
で、銃を選ぶと店のおっさんに使い方のレクチャーを受ける。ここでその全容を公開しよう。

1.おっさん、リボルバーを手にする。
2.「ここを引くとシリンダーが外れる。」
3.「ここに弾を入れる。」
4.「シリンダーをセットする。」
5.「引き金を引く。」
6.おっさん、オートマチックを手にする。
7.「ここを引いてここが開いた状態にする。」
8.「ここを押すとマガジンが出る。」
9.「こう弾を入れる。」
10.「マガジンをセットする。」
11.「ここを押すとここが閉まる。」
12.「引き金を引く。」
13.「何か質問は?」

……ほんとーにいいのか、こんなんで。

Nさん以外の3人とも非常に不安な気持ちのままイヤーパッドとアイグラスをし、二重の防音ドアを抜けて射撃場へ入る。

「どーん」

この日記は拡大文字を使用しないというコンセプトを持っていたのだが、今回ばかりは使わざるを得なかった。多分イヤーパッドをしていなかったら一生”beat mania”を楽しめない体になっていただろう(プレイはできるだろうが、音が聞こえなかったら楽しさ100分の1である)。密室内という事もあるのだろうが想像していた音より10倍は大きい。……本当にこんな物を撃つのか。音がするたびに恐怖におののく。

とはいえここまで来て引き返すわけにも行かない。覚悟を決めてシューティングゾーンに入る。ターゲットシートをレールにはさみ、手ごろな距離に移動させる。最初はリボルバーである。弾をセットし、標的に向かって構えて引き金を絞る。

「ばす」

こんなもんである。反動もあるにはあるが、腕がもってかれるほどでもない。ちょっと拍子抜け。それよりもまだとなりで撃ってるおっさんのマグナムの音のほうが恐い。うーん、こんなのでは乳首がたたないではないか(なんのこっちゃ)。

ちと拍子抜けはしたが、なんせ本物の銃である。エアガンやなんかとは持ってるだけで緊張感が違う。気合いを入れ直し的に向けて再度引き金を引きつづける。しかし、的にどう当たっているかはこの位置からではまったく見えない。これでは弾着を確認して修正するという事もできない。とりあえず照準を合わせて引き金を絞るのみである。

シリンダーの中の弾を全部撃ち終わった。ターゲットを手元のほうに引きよせる。中心に3発ほど。一応全部人型の中には入っているようだ。初めてにしてはそこそこの命中率ではないかな。

さて、次はオートマチック。なんかこっちの方が反動が強いような気がする。ただ、ターゲットの命中率はこっちの方が高い様だ。ロングバレルなのが影響してるのかな。
で、調子に乗って片手撃ちなんかもやってみる。22口径ぐらいなら簡単にできるようだ。しかしターゲットを引き寄せてみるとほとんど当たってない。うーん、親指飛ばしまでの道のりは遠い。

そんなこんなで、あっという間にすべての弾を撃ち尽くし終了。で、これが結果である。うーん、もうちょっと練習しなくちゃいけないなぁ。という事で今度また再度挑戦する事を心に決めたのであった。今度はもっと上の口径も撃てるはずだし。

で、ついでに、店のほうで本物の銃も売ってたりするので見てみる。くそでかいマグナムが置いてある。値札を見る。
「500$」
…………俺のデジカメより安いじゃねーか、おい。そら銃犯罪も多発するっての。
さすがにこんなものを買って帰るわけにはいかないので(あたりまえだ)キーホルダーとベルトにつけるタイプのホルダーを買う。ホルダーのほうは、当然の事ながらカメラを入れるために買ったのである。これで気分は初瀬野アルファである。とおもってたのに、ホテルに帰っていれてみようとしたらカメラがでかすぎて入らなかった。ちくしょ。今度きたときにもっと大きいの買ってみるか。

で、そのあと、いろいろとふらついているうちにせっかくだからという事でこんなとこに。
見てわかるようにすっごい奇麗。シリコンバレーのこういった会社はどれも結構奇麗なビルなのだが、これはその中でもトップクラス。このあたりについてはいつか企業ツアーして撮りまくりたいとは思ってるのだが、なかなか暇が無い。

その後、夕食に「フィッシュ・マーケット」に行き(今度はすんなり入れた)また食い過ぎる。

その後ホテルへ。いやぁ、なんか凄い一日であった。


木下:次は手榴弾だな。

吉田:むりむり。

木下:で、その次は巨大ロボット。

吉田:……どこで乗れるんだそんなもん。

木下:で、バイクの写真を撮って、夕日を見ると。

吉田:……なんか混じってるぞ。

Part11へ。

目次ページへ