石津忠の
「俺ならこう描く!!」
〜第一回「白黒編」〜
……その昔「ごっつええ感じ」みてなかった人にはわかりづらいタイトルかも(笑)。
それはさておき。
まず、今回のサークルカットを描いたマシンのスペックですが、
・CPU……Athron500
・VideoBoad……MilleniumG400MAX
・Memory……256M
・HD……ATA66_18G
・Scanner……GT7000WINS
・タブレット……ArtPadPro2
といったところです。
日記の続きから読んでいる人はわかると思いますが、この前作ったばかりの出来立てほやほやのマシンです。
Memoryが256Mで白黒原稿を書くにはかなり少なめなのですが、結論から先に書きますと、サークルカットぐらいの大きさなら問題なく動作しました。
(って、サークルカットで256MできつかったらA4サイズの原稿用紙になんかいくらメモリつんでても足りないか。)
ちなみに前の「初代Cellelon266無理やり400マシン(笑)」と比べると、ちょっとしたところの動作や、HDのスワップがかなり早くなったような気がしました。全体の時間から考えるとわずかでしょうが、その際のストレスはかなり減ります。
というわけで、CGを描くときのマシンのパワーアップのポイントは
・メモリ
・HD
・キャッシュ
ではないでしょうか?
(カラーでフィルタとかがしがしかけるような場合には浮動小数点演算能力がかかわってきそうな気が。)
私もそんな詳しくないんでよくわかんないけど。(なら書くなよ)
ま、その辺はともかくとして、実際に書くときの手順にはいっていきましょう。
ちなみに本文中の画像は基本的にグレースケールの画像を使用しています。
白黒用に2値化したものを縮小するととても見れたもんじゃなくなりますので……。
1.下書き
私の場合まず紙に鉛筆で下書きをします。
タブレットで直接下書き、というのも何度かやってみたのですが、やっぱ下書きからデジタルはちと難しいです。
で、こんときの紙は私の場合は、基本的になんでもいいのでてきとーな紙を使います。
今回はサイズが小さいのでそこらへんにあったノートに描きました(てきとうすぎ)。
今回の絵は位置合わせが重要そうなので3枚の絵を別個に描いて合成します。
………デジタル画材って便利だよなぁ。
で、その3枚の下書きをスキャナーで取りこみます。
で、これがその3枚です。
……汚れ放題ですが(笑)まぁ、下絵なので。
今回は300dpiで取り込みました。
元サイズから2倍で描いてありますのでこれで解像度を変えずに600dpiに変換すれば
「サークルカットサイズの600dpi画像の完成。」
ということになります。
(なんか白黒は600dpi以上というお約束があるらしいので。インクジェットで打ち出す場合だとどれだけ意味があるのかわかんないけど(笑))
2.ペン入れ
というわけで、ここからもう完全にPC上での作業となります。
先ほど取り込んだ下絵を元に主線をPC上で入れていきます。
ですので、下書きは罫線が入っていようが、わら半紙だろうが、鉛筆の線さえ確認できればなんだっていいのです。
ただ、この「PC上でペン入れ」というやり方は、どーやら一般的な方法ではないようで、一般的なやり方はやはり紙にペン入れをしてそれを取りこんで修正して………っていうやりかたのようです。
事実、この方法の人はWeb上でも少ないようです。
(当然、少ないから劣っているというわけでは決してありません。)
ただ、私みたいに紙へのペン入れの下手な人間はこの方法が非常に気に入っています。
(当然、この方法で作画している人が紙へのペン入れが下手なわけではありません(笑)。)
でも、いい方法だと思うんですけど。やり直しも自由自在だし、あとから線を追加するときにも取り込みとの違いの違和感も無いし。
まぁ、やはり慣れが多少必要なのと、紙に描くよりはちょっと時間がかかることと、
最大の弱点として
「紙がペンいれのむきに合わせて回せない(笑)」
ってのがありますけどね。
それはさておき、ペン入れの際に使うツールですが、私は
「Painter」
を使っています。。
なんでPainterかといいますと、
「好きだから。」
としか言いようが無いのですが(笑)。
でも実際のペンに近い線はペインターじゃないと出せないので(少なくとも私は)。
事実PC上でペン入れする人は大体の人がペインターでやっているようです。
(サンプル数が少ないのですが、Photoshopでペン入れという人はあんま聞いたこと無いです。)
まぁ、好みにもよるとは思いますが基本的にPhotoshopはフォトレタッチソフトで、Painterは実画材のシミュレーションソフトといった感じですので、やはりそのあたりの表現力はPainterのほうがかなり分があると思います。
わかりやすく言いますと、
Photoshopはカクテルソフトみたいな絵を描くのに向いていて、Painterは「終末の過ごし方」見たいな絵を描くのに向いている(笑)。
といったとこでしょうか。(わかりやすいのか、このたとえ(笑))
でも、逆も当然できますけどね。(というか、実際「終末」の絵を描いている人はPhotoshopをつかってるらしい。……絶対Painterだと思ってたんだけどなぁ。)
閑話休題。
で、実際の作業方法としてはまず取りこんだ画像を全選択し、指矢印状態のマウスポインタで画像をつついてやると下絵がフローター(Photoshopでいうとこのレイヤーみたいなもの。でも、基本的に不透明。ただ、Painterは6からレイヤーがサポートされた。)に変換されます。
このフローターを「下絵」という名前に変更します。
で、もう一度「全選択→つつく」をやるとまっしろなフローターが作成されます。
当然、このまんまでは使い物になりゃしないので、フローター属性を乗算モードに変更。
するとフローターが透明になり、下絵が透けて見えるのでこれでペン入れが出来るフローターが出来ました。これを「主線」とか適当な名前に変換します。
(ちなみにこのままだと、下絵が丸見えで、ペン入れの線が非常に見にくいので、下絵の濃度を下げちょい薄くしておくといいとおもいます。)
さらに、この動作を繰り返すことで、当然何枚でも「干渉しない独立した主線部分」を作り出すことが出来ます。
これがなんの役に立つかといいますと、「順次脱がせ式のエロゲー」を作る際に便利です。
………って、そうでなくて(笑)。
いや、確かにそれも便利なんだろうけども(笑)、本来の目的としては、
「主線同士が重なり合う可能性がある場所で、もしも失敗したときに修正が面度くさくなりそうなところ。」
に使います。
これがどこかというのは個人によってかわってくると思いますが、多くの人に当てはまるところは多分、
「髪の毛」
ではないでしょうか?
そんなわけで私は基本的に髪の毛は別フローターにわけて処理するようにしています。
当然、今回もそうしていたのですが、これがあとで非常に役に立ちました。
それに付いてはおいおい説明するとしまして、あとはペン入れに走ります。
私がペン入れに使うのは「スムースインクペン」です。
濃度変化が少ないので白黒の下絵にはむいていそうなのですが、カラーには本来あまり向かないような気もします。
ただ、私は大体のイラストなどを白黒、カラー両方に転用することをもくろんで作成してますので、基本的にはどんな絵でもこれを使っています。
いざとなれば線の色は後からレイヤーかぶせて薄くしたりすればいいことだし(笑)。
ちなみに一回ごとにサイズを変えるのはめんどいので、太、中、細、と適当なサイズごとにバリアントを作ってあります。
そんなわけでざぁーっとペン入れをし、完成したのがこの3枚です。
大体使うと予想される部分以外はかなりいーかげんなペン入れです。
(ちなみに左から順に書いていっているのですが、気合の抜け具合がなんとなくわかるのではないでしょうか(笑))
3.配置
で、今度はこれをPhotoshopにもってって作業します。
PainterでPhotoshop形式で保存すればPhotoshopで読めるようになります。
(ただし、このときのPhotshopデータは圧縮がかかっていないやたらくそでかいファイルですので注意。
Photoshopのほうで再保存してこのときのデータは捨ててしまうのがいいでしょう。)
で、ここからPhotoshopなのですが、Painterからの転送なのでレイヤーが透明色じゃありません。
まぁ、Painterと同様乗算モードにすればいいのですがレイヤーの背景が透明じゃないのはなんかくやしいので(笑)透明にしてみましょう。
で、今回は近似色選択で白を選び選択範囲を反転、でCopy,貼りつけでやりました。
が、多分この方法だと黒の部分はまあいいのですが、抜きなどの部分が「薄い黒」ではなく「灰色」となっているはずなので(色の上に持ってきたときに透けない)、カラーには不向きかと。
多分アルファチャンネルを使えば出来ると思うんだけど、このときは白黒だしこれでとくに問題もなさそうなので、
「まぁいいか」
ってことで、やってません(笑)。
またカラーで、こういうのやったとしたらそのときにでもやってみます。
(でもカラーだとPainterからPhotoshopにってうつさないと思うけど。)
で、この3人をあらかじめ作っておいた「サークルカット枠」のなかに配置して、線を入れて区切ってみます。
すると、こんな感じになりました。
……と、なんか、上と下の髪型がなんかかぶっているような感じがします。。
これはなんかいやだな、ということで下の方の髪を変えてしまうことにしました(笑)。
こーゆーときに髪の毛を分けていると「髪の毛」フローターをざくっと消して新しい髪を描けばいいので便利ですね。
(ちゃんと構成考えてから描けばいいだけっちゅー話もある(笑))
で、こんな風になりました。
→ → → |
||
修正前 |
修正後 |
別に失恋したとか、これで臨界を超えていきなりもてもてになるということはないです(笑)。
それはともかく、新しく描きなおしたほうで再度配置してみますと、
こんな感じになりました。
どんなもんでしょう?
(……今改めて見ると逆に似てしまったような気もする(爆))
4.トーン貼り
で、キャラクタの配置が決まったところでトーンを貼るために2値化します。
2値化するときも閾値によって線の感覚が変わって来たりもしますが、スムースインクペンで書いた線ならそんなに変化しないのでフツーに50%でがすっとやってしまいました(笑)。
で、その後トーンを貼ります。で、この作業には「パワートーン」を使います。
……とか書いているが、実は使うのはこれがはじめてだったりします(笑)。
で、使い方としては、範囲を選択してそこに対して貼りこむトーンを指定してやるとレイヤー化されて下絵に干渉せずにトーンが貼れます。
……というはずだったのですが(笑)。
実際に使ってみると、張りこんだトーンがレイヤー化されずに、元画像にそのままくっついてしまいます。
なんじゃーこりゃーと思い、WEBで調べてみると、なんか機種により不具合があってそーゆー現象も起こりうるとの事。
なんじゃそら。つーことはこのAthronがまずいのかなぁ。
ということで「無理やり400Celellon」のほうに持っていき貼りつけてみることに。
こっちでも出来ず(爆)。
ぬぅう。今回のは小さい画像だからともかく、張るところが増えたらこんなんじゃ使えないぞ。
ユーザーサポートに今度文句言いにいってやろう。
まぁ、今回は仕方ないので、このまま張り込んでしまいます。一発勝負ですがもう時間もあんまりないし。
で、出来たのがこんな感じになりました。
5.文字入れ
あとはこれに文字を入れればとりあえず完成です。
で、この文字入れには、また別の「PicturePublisher」というソフトを使います。
なんでこのソフトを使うかというと、
「文字の変形や配置が”めちゃめちゃ”楽だから」
です。身もふたも無いですが(笑)。
このソフトにはいわゆる「レイヤー」と呼ばれる類のものがありません。その代わりに
「オブジェクト」
というものがあります。Painterのフローターをもっとフローターよりにしたものといった感じです(なんだそりゃ)。
簡単に言っちゃいますとレイヤーが透明なセルの上に着色したりするのに対して、オブジェクトは文字や選択範囲を切り抜いて元絵の上に置いていく、といった感じですね。
ですので、レイヤーと比べると1.や2.で使っていたような使い方はできませんが、回転、拡大、縮小、変形、色変えなどがオブジェクトごとに手軽にできるので非常に感覚的に使いやすいのです。
ベジェ曲線の文字を変形するのに比べたら多少情報は崩れますが、この手軽さは絶品です。
基本的に私のイラストの文字入れは全てこのソフトで行っています。
で、文字を入れたバージョンがこちらです。
……やっぱり真中の段の文字フォントと背景トーンは失敗だったかなぁ。
6.文字白抜き。完成。
で、サークル名を入れて、このままでは文字が読みづら過ぎるので周囲を白抜き(これも簡単にできる)して再度2値化を行って完成したのがこれになります。
………きっとつぶれるでしょうね。(爆)
いかがでしたでしょうか?
まぁ、私も白黒のCGって言うのはあまり描いてないので練習もかねて描いてみました。
(そんな方法をWebで発表するなって気もしますが(笑)。)
ただ、白黒のいわゆる漫画をCGで描くという方法が、あんまりWeb上や本なんかで公開されていないので、
「こーゆーやり方で私はやってみてますけど………。」
っていう問いかけみたいな目的もありまして、今回発表してみました。
ですので、他に良い方法をご存知の方がいれば教えてもらいたいなぁ、というのが本音です。(爆)
(だって、本当にそれくらい白黒CGに付いては情報が少ないんですよ(;_;))
そんなわけで。石津忠の「俺ならこう描く!!」〜第一回「白黒編」〜をこれにて終了致します。
あまり役には立たないと思いますが、もし感想かなにかありましたら、メールでも送ってくださるとうれしいです。
……さて、それではいつもの堕落日記に戻るとしますか(笑)。
吉田:……あんまりいつもの日記とかわんないようなきがするんだけど。
木下:どーせ、まともな文章書けない人間ですから仕方ないんじゃないでしょか?