石津忠の
「アメリカぶらり旅」
Part1
6月29日(月)
まぁ、タイトルはそんな風に書くしかないが、渡航の目的は仕事である。
そう考えると、ただでさえコミケにいけないなどの不満もあり、ちょっとブルーなきもちになる。
ちなみにコミケは落選。今回ばかりはよかったと心から言える。
それはさておき、2ヶ月ほど下宿を離れるので、電気、水道、ガスを止めてもらう。
ちなみに電話は停止して、番号を保持することにすると、基本料は結局取られ、しかも、工事費が1500円かかるといわれたので、とうぜんやめた。暴利を貪るNTTの姿を改めてみせつけられた。
その他のものだが、なぜか電気だけは立ち会いがいるとのことで、出発当日の朝に荷物の確認をしながら電気屋のおっさんを待つ。
なかなかこない。
仕方ないので、テレビのワイドショーの「驚愕!!カビだらけ欠陥マンション!」とかゆう番組をボーッと見る。コンクリ打ちっぱなしで、断熱材が入ってないので結露が起こりやすく、こうなったらしい。
そんな一生使わないであろう知識を身につけていると電気屋のおっさんがくる。
電気を止められ、ブレーカーのところに黄色いテープをべたっとはりつけられる。
なんか差し押さえられたようにも見える。
ともかく、これで準備のほうは終了した。大家さんに挨拶をしていよいよ出発する。
クロネコヤマトの空港宅急便を使ったので荷物は少ない。しかし、2ヶ月も自転車を駐輪場に置きっぱなしにはできないので、最寄りの地下鉄の駅までは歩くしかない。駅についたときにはすでに汗だくである。一瞬”ぶっち”という言葉が頭をよぎる。しかし、ここでぶっちしてしまうと向こうでの生活費などをもらってしまっているだけにただの犯罪者になってしまう。考え直して地下鉄の階段を降りる。
使用する路線は鶴舞線だ。さすが10時すぎだけあって、座ることができたので御器所で桜通線に乗り換えずに伏見で東山線に乗り換えることにする。(名古屋市民以外には訳がわかんないかも)
そんなこんなで名古屋駅に到着。コムテックタワーにいって"beat
mania 2ndmix"をやりたい気持ちを必死で押さえて新幹線乗り口に向かう。
荷物になるのはいやなので、読み捨てられるような雑誌を買うつもりで乗り口近くの本屋に入る。
出てきたときにはなぜか、紫堂恭子「癒しの葉(2)」を持っていた。
11時14分名古屋発東京着のひかりに乗り込む。隣の席はなぜか外人。できすぎた展開にびっくりし、とりあえずビールを飲んで寝る。
いつも出張でひかりを使う場合に降りる新横浜駅のちょっとまえで目が覚める。こんな事が習性になってる自分がいやだぞ。
それからしばらくして東京に到着。なんかいつきても不思議な印象を受ける街である。
それはさておき、新幹線を降りたはいいが、どこへいけばいいのかがわからない。
成田エキスプレスというのに乗るらしいのだが、「〜線」というのが多すぎてよく分からない。そこで、考えるのは止めて駅員のにーちゃんに聞くことにする。
にーちゃんの指差した方向に歩いていくと、なんか乗れそうな感じのところにきた。更に進むとみどりの窓口があったので、切符を購入しさらに進む。どうやら、成田エキスプレスのホームにいくにはエレベーターを使うらしい。結構大型のエレベーターに乗り込む。ちーんという音とともにドアが開く。
だれもいない。物凄く不安になる。しばらくさまようと別のエレベーターを発見。こいつでもう一度降りるらしい。別にRPGやってるわけではないのだが、地方出身者にとっては「マトリックスの迷路」のようなもんである。(乗り換え時間に余裕があったので「時は金なり」ではない)
何とかホームにたどり着いてぼぉーっと待っていると成田エキスプレスが「半分だけ」はいってきた。
私が購入した指定席の1〜5号車はどこにも無い。おいおいと思いながらMDを止めてアナウンスを聞いてみると、どうやら1〜5号車はあとから入ってきて連結するらしい。
しばらく待っていると、なるほどやってきたようだ。だがなぜかホームにぎりぎり届かないぐらいのところでブレーキをかけて止まっている。なんかにらみ合いをしているようにも見える。
しかし、当然いつまでもそうしているわけもなく、しばらくの後に動き出し見事に連結を行った。サラリーマンが結構いたので、「峠の釜飯」という言葉と映像を思い浮かべたやつは私のほかに3人はいたはずだ。
成田エキスプレスに乗り込む。豪華な作りなのだが、荷物を下におけるようにするためのBOX4人がけの固定シートはどんなものかなと思う。車内販売でワールドカップ記念グッズを売る神経も何とかしてほしい。
そして成田第二ターミナルビルに到着。所用時間1時間強。「新東京国際空港」という名称が恥ずかしくないのか。
ゲートのある3階にいくまでになんか騒々しいところがあった。芸能人か誰かがいるのかとも思ったが見たところでどうしようもなさそうなので先にいく。
3階についた時点で会社の人との待ち合わせ時間まで一時間ほどあるのでそこらへんをふらつく。
航空会社のねーちゃんたちの写真でも撮ろうかと思ったが、いまいちピンとくる制服のねーちゃんがいなかったのでやめる。もうちょっとなんかこういい感じのはないのかなぁ。なんか全体的に野暮ったかったぞ。
で、ふらふらしながら一応カメラのフィルムなんかを買ってかばんにしまおうとすると、いきなりファスナーの金具がぶち切れる。
縁起でもないことこの上ない。
そのままでは使いづらいので安物のキーホルダーを買って金具の変わりにする。ヒロイックファンタジーの主人公なんかが持っていそうな剣をデザインしたやつだ。正直なところかなりださいがピカチュウをぶら下げとくよりはましだろう。
午後3時半会社の人と合流。何でも下のはサッカーの日本選手の帰国だったそうだ。高杉や騎馬が見れたんならいってもよかったかも。
午後4時チェックインをすます。前にいた家族連れが荷物検査のときに「花火」で引っかかっていた。んなもんもってくなよ。
ゲートを通過して休憩室に向かう。私たちのチケットはエコノミーだが、ツアーじゃない場合はエグゼクティブのラウンジが使えるそうで、ごっつい豪華な休憩室でくつろぐ。このままここでボーッとしていたい気持ちをおさえて(こんなんばっかりだな)搭乗待ち合わせ場所へ移動する。
ここで海外旅行保険に入ってなかったことに気づき、自動保険設定装置とでもいうものを使おうとするのだが、ゲート内のこの機械は最長で1ヶ月までしか設定できないようで、私の出張期間の2ヶ月はとてもカバーしきれそうも無い。仕方ないので実家の両親に連絡して「入っといて」と伝える。
そんなふうにちょっとばたばたしたが、いよいよ飛行機に搭乗。
JAL002便サンフランシスコ行き、ボーイング747型機。まごいや蒸気機関車といっしょに新幹線のホームに入ってきたりはしない。
搭乗してまずエコノミーの狭さに驚く。サイズ的には新幹線の普通席の80%ぐらいの広さといった感じであろうか。ともかく狭い。ビジネスでいくのにビジネスクラスが使えないことに不満を感じつつもシートに体を押し込める。
連絡通路が外されて機体が動き出す。誘導路の間ははちんたらちんたら走っているが、滑走路に出たとたんとんでもない勢いで加速する。(まぁ、しなくちゃ困るのだが)
とか考えている間も無く、あっという間に機体は離陸し上昇を続け高度1万メートルで水平飛行に。窓の外を見て「あのウイングレットがどれぐらい燃料を稼いでいるのかなぁ」と、まんがサイエンス的なことを考えていると、もう食事の時間である。ちなみに機内食は私が想像してたよりかなりうまかった。
食事をとってしまうとサンフランシスコまでの10時間弱、なにもすることがない。仕方ないので、ビデオを見る。007トゥモローネバーダイ、マウスハントなどを見る。007はオープニングの映像がかっこよくて気に入った。ただ、画像がなんかノイズが混じるというかときどきサターンのシネパックみたいな画像になるのだが、あれは何だったのだろうか。
ちなみに、このあたりのビデオの操作は手元のコントローラーで行うのだがこのコントローラ、横にするとゲームのコントローラになり(ゲームのサービス自体はまだ行われてない)、こいつがどうみてもスーファミコントローラ。叩き割ろうとするが、結構頑丈にできているため断念。
そんなことをしながらも、時差ぼけ解消のため何とか眠ろうとはするのだが、いまいち眠れない。
むりやり一時間ほど眠ったが、それ以降はまったく眠れない。仕方ないので、アメリカ入国許可証とかいうようなものを書く。書き方がよく分からないが、とりあえずてきとーに書く。しかしこれ、裏面にいくつか質問があるのだが、伝染病やなんかの質問はともかくとしてテロ活動云々や、犯罪行為どうこうという質問に、本気で犯罪起こそうとしてるやつに書かせたところで正直に答えるとはおもえないのだが。
そんなことを考えながら関税申告書とかといっしょに書き終えて朝食をとったりしているとそろそろ着陸するようである。モニターで外の様子を写しているチャンネルにしてみる。と、そこは一面に広がる西海岸。といったことはまったくなく、雲が見えるばかりである。サンフランシスコ空港はどうやらあの下らしい。私の頭の中に、軽快な音楽とともに、
場所:サンフランシスコ国際空港
機種:大型旅客機
天候:曇り
風速:5メートル/秒
GOOD LUCK!
という文字が思い浮かんだところで、誰が私を責められようか。ところでTOP
LANDIGの曲ってCDで出てたっけ?知ってたら誰か教えてください。
それはさておき、機体はゲームと同じように雲の中に静かに降りていく。
かとおもったらさにあらず。機体のゆれることゆれること。いやがおうにも不安が高まる中、TAITOはそのあたりの再現性は甘かったわけかなんてことを考える。しかし、雲の中を通過し滑走路が確認できるぐらいまで降りれば割と安定する。ただ一度生じた恐怖はなかなか拭い去れず、ベルトと体の間に枕を挟みいすの上にあぐらをかこうとする。が、エコノミーの席の狭さではあぐらはかけないことが判明。キートン先生はビジネスクラス以上に乗っていたわけか。
まぁ、あぐらはかけなかったけどもとりあえず無事着陸。現地時間にして6月29日午前11時50分。何故時間が戻る。理屈では分かっていても納得したくないものがこの世にはある。
しかし、時間が戻っているということはここはもうアメリカなのである。タラップの最後の段でびーっという音とともに東京に戻されるという最後の希望も破れ(そもそもタラップなんかないが)、サンフランシスコ空港内へ。入国審査でなんか聞かれるかとも思ったが、ほとんど何も聞かれずに通過。
ロビーにいくと周りは外人だらけである。恐怖におののく。
ロビー内に一緒にきた会社の人の名前を持った女の人がいた。会社のほうで手配してくれたタクシーの運ちゃんであろう。アメリカのアクション映画の主役の刑事の隣の部屋の室長のような感じの人である。とりあえず話し掛ける。会社の人が。私は後ろにいるだけである。
とりあえず話しは通じたようで、車を回してくるとのこと。その間空港の玄関口で待つ。外は曇り。私の旅路を暗示するようないい天気である。
しばらくして車がやってくる。乗り込む。FreeWayに乗って会社のほうに向かっている。らしい。ほんとに向かっているのかちょっと聞いてみる。ぜんぜん通じない。とりあえず最後に「ドンマイ」といわれる。なおさら不安になる。
まぁいつまでも不安なままでも仕方ないので気を取り直して外の風景でも眺める。だだっ広い。それ以外に何を言えというのだ。
しかし目的地に近づくに連れ様子が変わってくる。さすがはシリコンバレー。その類のメーカーが大小取り混ぜていたるところに存在している。このあたりは今度メーカ巡りでもしてみようと考えていると、目的地の”ぴー”に到着。一応このあたりはいろんな問題も有りそうなので秘密、という事で。
会社に着いたものの、いきなり待ち合わせ場所と違う場所に通される。説明するがいかんせん通じない。会社の人と二人で椅子に座りながら途方に暮れる。
しばらくして連絡がついたので先発できていた人たちに迎えにきてもらう。合流。日本語って便利だなぁと心から思った。
その後会社の人に仕事の説明や会社内の案内などをいてもらっているうちに時間が経過し、晩飯にいく。このあたりは結構日本食とかが食べられるところが多いらしく、そこにいく。ただこのあたりといってもFreeWayにのって移動するぐらいは離れていたが。
店について食事。味の感想ははっきりいって大味。仕方ないといえば仕方ないか。
食事が終わって会社に戻る。西日が暴力的なまでにきつい。サングラスが無いと本当に運転できないと思われる。ふと思い付いて時計を見るともう午後8時すぎ。どんな国だここは。
午後9時。会社を出てホテルに向かう。ちなみにまだ日本で言うところの夕方ぐらいの明るさである。どんな国だここは。
ホテルに到着。というかモーテルである。眠かったが「12時までおきてないと時差ぼけになるよ。」という会社の人のアドバイスをもとに12時ぐらいまでインターネットに接続して「BM98」のデータを落とす。
その後、就寝。
精神的にも、肉体的にも、実際の時間にしても、今まで生きてきた中で一番長い一日であった。
吉田:こんなんですけど、何かご意見、ご要望などありましたらこちらまで。
木下:無いと思うぞ。ふつうは。